寒国しろくまと夢のたび

カナディアン夫と暮らすトロント在住フォトグラファーの思考録

カナディアン兄妹がみつけたクール・ジャパン

妹が帰ってきて半月ほど経った。
日本に行く直前にボーイフレンドと別れたばかりだったが、もうさっさと新しいのを見つけている。





ところで、今回妹と一緒に日本の夏を過ごしてみて改めて感じたことがある。外国人から見た日本というのは面白い。
彼らのカメラにある写真を見ると、どうして撮ったのかわからない被写体の写真がよくある。
一緒に出歩くと、変なものに目を輝かせる。面白いので、その度になんで?と聞いてみる。

夫が去年来日した際に一番初めに撮ったものは、自動販売機だった。アメリカ人の友人、ブルース(仮名)は白い軽トラに積まれた藁の山を撮っていた。

ここらでカナダ人の夫とその妹が発見した「クールなジャパン」の中から、「へ~」となったものをリストアップしてみる。


(夫の場合)

  • 軽自動車

ラパンやタント、ムーブなどといった日本の軽自動車。「小さくて形も色も可愛い!おもちゃみたい!」らしい。
カナダの車は高級車以外は色もデザインもなんだか平凡。毎年雪が大量に降るのでほとんどの人は定期的に洗車したり磨いたりしない。

  • 喫煙ルーム

空港や駅などでよく目にする喫煙者専用の部屋。なぜみんな集まって吸うのか。外に出て吸えばよくない?気持ち悪くない?ということらしい。
ちょっと同感。あまりにも異様なので夫はそれを『Smoking room』ではなく『Cancer(癌) room』と呼んでいた。

  • コンビニのフェア

某コンビニエンスストアでおにぎりを二つ買ったら、レジでONE PIECEのクリアフィルをもらったらしく「???」となっていた。
おにぎりを200円分以上買うと一つ無料でギフトがもらえる、みたいなフェアが定期的にあるのだと説明すると「日本のコンビニ素晴らしすぎる!」とその後それだけのためにコンビニに通い詰めた(ワンピース観たことない)。

  • 缶コーヒー

わずか120〜130円で買える缶コーヒー。種類も豊富。美味い。トロントでコーヒーとなると、Starbucksなどのチェーンもしくはローカルなコーヒー店まで足を運び2〜5$払ってゲットするしかない。彼のお気に入りはBOSS微糖。

  • 焼肉屋のコンロ

チェーンの焼肉店へ行った時のこと。肉を焼き始めて煙が出てこないのに気づき、「煙は全部下に吸い込まれるようになってるんだよ。」と説明すると、「Wooooo that's so cool!!!」と食べる前からテンション⤴︎。国産ではなくオーストラリア産の肉だったが、味も最高!と大絶賛。ハイテクジャパンの印象が一層強まったそう。

  • ゴミ箱がない

日本は街中にゴミ箱がほとんど見当たらない。彼の育ったトロントの街には、数十メートルおきに公共のゴミ箱が設置されている。にもかかわらず日本の方が道にごみがなくクリーン。日本人の身体には『ごみは持ち帰るもの』という感覚が染みついている。

  • 家庭用トイレ

日本の家庭用のトイレの上部には、大抵小さなパイプが付いていて流した後にそこから水が出るようになっている。「まさか流した汚物がこのパイプから出ているのでは…」と思ったらしく心配そうに聞いてきた。

  • ゆるキャラ

各県にゆるキャラというものがいて、それが地域を盛り上げるために歌ったり踊ったりPR活動のためにイベントにおもむいたりしている。大人も子どももそれらを可愛がり応援する。夫「日本人ってやっぱり変だね」。

  • アニメの威力

コンビニにアニメ。パンやお菓子のパッケージにもアニメ。終いには警察庁から出ている万引き防止のポスターもアニメ。アニメ文化浸透度とその威力にWOW。

  • 飲み放題食べ放題三千円

飲み物も食べ物も好きなだけ食べられて30$(3000円)代という日本の居酒屋のコスパの良さ。外食代が高くつくカナダの人たちにとってはまさにヘブン。カナダには『All you can eat』いわゆる食べ放題の店はあるが、飲み放題というものはない。飲み物は種類にもよるがだいたい一杯約7~8$(700~800円)はする。しかもそれに消費税13%+チップ(最低でも合計金額の10%)が加わる。体格が良くよく食べる夫は特にこの制度にはものすごく感謝していた。

  • ヴァンダリズム

「日本にはヴァンダリズムがない」と夫。もちろんなくはないだろうが、他の多くの国々と比べて、美しいものや文化的なもの、公共のものを守ろうとする人々の意識は高い。そういう風に教育されているからだと思う。
(ヴァンダリズムとは-ヴァンダリズム - Wikipedia



(義理妹の場合)

  • アイスクリーム

コンビニやスーパー、薬局などで売られている100円前後のアイスクリーム。種類がとにかく多い上に安い、美味い、パッケージが可愛い。近所の大きなドラッグストアのアイスクリームコーナーへ連れて行った際、店奥からずらーっと並ぶ冷凍庫とその中にこまごまと陳列されたアイスクリームたちに一瞬で目を奪われ、5つも買って店内のベンチで試し食いしていた。トロントでアイスクリームを食べるには、アイスクリームの専門店で4~5$出すか、フードトラックで売っている甘々でチープな味のものを、それも2~3$出して買うしかない。

  • 100円均一店

ダイソーやSeriaなどのいわゆる『100均』に興奮し、初日から8千円も使ってしまった義理妹(愚か者)。ちょろっと覗くつもりが4時間半も買い物に付き合わされた。どうやったら100均でそんな膨大な時間と金を費やせるのか私たち日本人は理解に苦しむが、彼女のような外国人観光客の間では珍しくないらしい。彼女は主に文房具やキャラクターものの雑貨、旅行用のバキュームバック等の便利グッズを購入。

  • 女子が可愛い

来日の際、関空から伊丹へ移動したという彼女からメールがきた。恥ずかしさのあまりトイレに駆け込んだというので理由を聞いたところ、「空港にいる日本人の女の子たちが可愛すぎて眩しすぎて、髪ぼさぼさ&すっぴんで歩いている自分が恥ずかしくなり、いそいでメイクをしに走った」という。その後の日本滞在中にも2人で街中を歩いたりしていると何度も「日本人はすごくおしゃれで可愛い!!」と繰り返し言っていた。もちろんおしゃれを心から楽しんでいる可愛い日本人女子はたくさんいる。しかし日本社会の外見へのExpectation(期待度)が高い故に「めんどくさいけどマナーだから嫌々」やっている女子が多いのも事実。カナダでは『個人は個人』なのでわりとみんな他人の外見に無頓着だし、『すっぴんは恥ずかしい』という概念がないため、とくにパーティなんかの特別な場合でなければ平気で街をすっぴん×Tシャツ×ジーパンで歩ける。妹にはそのままで十分可愛いんだから気にするなと言っておいた。

  • 衣料品店の床が綺麗

床が綺麗というのは、別に丁寧に磨かれていてピカピカしているという意味ではない。服が床に散乱していない、という意味。トロントでは、店にもよるが若者に人気で価格もリーズナブルなForever21やH&M、ZARA、GAPなどの店に入るとほぼ100%床に商品が散らかっているのを目にする。これについてはわたしも謎でしょうがないので今度試しに人が服を手に取って床に落とすまでの過程を観察してみようと思うが、日本でこんな光景は新年の大売り出し限定セールなどでない限りまず見ない。妹もこれには感動し、自らの衣料品の扱い方を見直し改めていた。

  • さらさらパウダーシート

夏が短く湿気の少ないトロントでは、それの必要性を感じない。妹が日本に来たのは夏で、それも毎日35度前後プラス湿気という異常な気象に北国生まれの彼女はかなり参っていた。そこでビオレ・さらさらパウダーシートの出番。ある日外出先で買ってあげたら「My skin can breathe!!!!」と大喜び。汗のにおいが消え一瞬でフローラルになり、しかも全身さらさら。合気道教室に通い始めた後も愛用していた。

  • メイクアップ用品

人種の多いカナダでは、自分の肌に合うメイク道具を探すのは至難の業。妹いわく、MACやNYX、Maybelineなどのカナダでわりと人気のあるブランドの化粧品はアジア人の繊細な肌に合わないことが多いらしい。さらにナチュラルメイクが可愛いとされる今日の日本では、例えば口紅であっても薄めの色のあまりマットでない、潤い成分配合のものなどが多く、なんでもかんでも“TOO MUCH”な北米の化粧品とは違う。しかもクオリティが素晴らしい(妹談)。

  • 人々の反応

不運にも、日本でストーカーにあった妹。駅で泣きながら駅員に状況を説明している時の周りの人たちの反応に違和感を感じたという。トロントで同じ状況が起こった場合、人々はまず「何が起こったんだろう」「何か助けられる手段はないだろうか」という目線で彼女を見る。慰めや励ましの言葉をかけてやったり、対処方法を具体的に伝えてくれる人がいるかもしれない。けれど日本で彼女が人々から感じたのは「戸惑い」のみだったという。ただ見て、戸惑うだけ。奥ゆかしさを美とする文化故か、わたしたちは感情を欧米人ほど表に出さない。だから急に感情的な大人を見て困ってしまったのだろう。これもまた「表現する」ことにおける文化の違い。

  • がちゃぽん

「SMALL・CUTE・QUALITY」が溢れるジャパンだが、その一つがガチャガチャ(妹談)。バリエーションが豊富で可愛らしく、何より何が当たるかわからないわくわく感が1コインで味わえるということで、おなじくがちゃぽん好きな私の母と2人で少女時代にタイムスリップし、ガチャガチャと回してはその度にキャッキャと盛り上がっていた。

  • 巨峰

「日本のフルーツは美味しい!」と絶賛していた妹。特に巨峰が大好きになった。最初に食べ方が分からず誤って皮ごと食べていたのは、カナダのぶどうはマスカットのように皮ごと食べるタイプが大抵だから。ジューシーでやわらかくて甘くて、渋みがない。桃も大好き。






と、ざっとこんな感じ。
目の付けどころが私とはもちろん、兄妹間でもだいぶ違うので面白い。また思い出したら付け足すことにする。