寒国しろくまと夢のたび

カナディアン夫と暮らすトロント在住フォトグラファーの思考録

さあ、4度めの冬

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はろー冬。

先日クリスマスマーケットに行ってきた。炭火の香りがするほくほくのソーセージやカラフルなチョコレートでトッピングされた可愛らしいプレッツェル等には目もくれず、写真ばかり撮っていた。夫に三脚を持ってもらっていたことを(正直なところ、その時は夫の存在自体を)すっかり忘れて一人ひょいひょいと目線の行くまま、好奇心のおもむくままに歩き回っていて、「三脚まだ使うの?もうしまっていい?(不機嫌)」と後ろから言われてやっと「ハッ。ごめん!」と気づく。そういえば去年も置いてけぼりにしてしまい後で怒られた。それくらい、このディスティラリー地区のクリスマスマーケットはほんとうにフォトジェニックで心を持っていかれる。

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散々トロントの夏は最高、秋は最高などと言ってきたが、そういえばカナダは冬も最高(visualに限る)だった。煉瓦造り×電灯×雪とかね。街全体の彩度が少し落ち着いて、赤や金や白(雪)がぱっと映える感じ。

 

 

 

最近はもっぱら一人時間を楽しんでいた。全然人と会っていない。人知れず黙々とインプット作業を行っていた。一カ月ほど前だったか、読みたい本があったので、ちょうど日本から荷物を送ってくれるという母親に頼んで一緒に4冊ほど送ってもらった。本の重さのせいで送料が高くついたらしく、箱に貼ってある伝票を見てぎょっとした。ごめん母。。。これからはAmazonの海外発送で頼むか、帰国時に一気に買って詰めて帰ろうと反省。

 

とはいえこの4冊、もうすぐ全部読み終わるのだけど、全ての本が怖いくらいに今のわたしにどんぴしゃだった。完全に必要なタイミングで来た。どれも違う分野の本なのに。

その中のひとつ加藤昌治氏の「考具」についてすこし書いてみる。

 

筆者が普段実践しているアイディアの引き出し方、そのために有効なシンキング・ツール「考具」の使い方について解説してある。実際に「考具」を試しながら読んだ。これがとても面白い。自分がどんな風に思考しているのかが見える。読んでいてなるほどと思ったのは、「アイディアを考える段階での頭の使い方は、とにかく広げまくること。実現可能性も無視、脱線もOK。広げられるだけ広げて、その後で絞る」ということ。これが意外とできていない。自分の思考回路を俯瞰してみると、アイディアを出す段階から「いや、これはないでしょ」「これは予算的に無理」とほぼ無意識に判断してそもそも頭から排除していた。なんてもったいないことしてたんだろう。。今は意識的に、その時それがいかにくだらないアイディアだと思えたとしても、頭に浮かんだことはとにかく書き出すことにしている。この「頭の中にあるものを一度外に出す作業」というのがとても重要らしい。

他にも、例えば考具1「カラーバス」では、日常生活で特定の「色」に注目する。例えば朝「今日のカラーは赤」と決めたら、その日1日街を歩く時も電車に乗るときも、とにかく赤いものを意識する。これはわたしもやってみた。色については、写真をやっているので普通の人よりわりと色彩を観察しながら生きているつもりではあったけれど、意識的に特定の色に注目して過ごしたことはなかったのでかなり楽しめたし発見がたくさんあった。赤い毛糸の服を着た犬と、コーヒーショップの赤い看板と、路面をゆく赤い車体の電車が妙に浮き上がって見えて、無関係な3つのものが「色」よって急に繋がる。同じ「赤」というくくりの中にも様々な「赤」があることに気が付く。わたしはちょっと褪せたレトロ調の赤色が好きで、それが看板のように文字と一緒になっているものに惹かれる。文字を見るときにどんなフォントかもけっこう見ている。あと、色がごちゃごちゃした中にある赤よりもシンプルな背景の中にぽつぽつ配置されている赤を美しいなあと思う。こんな風に自分の傾向みたいなものが分かるのも面白い。カラーバスのほかにも、「七色いんこ」や「マンダラート」、「オズボーンのチェックリスト」などいろんな考具がある。これからいろいろ試したい。リンクは下。

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

 

 

 

このインプット期間に、面白い人を見つけた。カナダ在住のバンドマン、且つフリーランス・デザイナーの男の子。見つけたと言っても実際に会ったことはなく、たまたま彼のデザインをinstagramで見て一目ぼれし、すぐにブログを読み始め、「この子すごい!会ってみたい!!!」と思うようになった。いろいろ言いたいことはあるけど、百聞は一見に如かず。こちら彼のブログ。

arairio.com

とっかかりは彼が自らデザインしたというグッズだった。超かわいい。色合いも好き。ぜひとも購入したいけど、かなりのものが既にSOLD OUTだった。それから考え方や生き方。素直で真面目で、パッションに溢れていて、若くして「自分で自分の人生を創っている」人。こんな風に躊躇なく、コンスタントに自らを成長できる環境に放り込めるのはすごい。しかもそれを全力で楽しんでいる。わたしが彼を知ったのは、いろんなことでずーんと底に落ちている時だったから、何というかこの文面から伝わるパワーにすごく勇気をもらった。最近は「わたしもこうしちゃいられない!」と自分を奮い立たせる原動力に確かになっているし、少しずつだけど進むことができている。このタイミングで知れてよかった。先日、起きてInstagramを見たらたまたま彼がStory LIVEをやっていて、初めて映像の中の動いている新井くんを見た。声や喋り方がやわらかく優しく、よい意味で予想と違っていた。超熱いんだけど、同じくらいとても謙虚で素直。やっぱり23歳なんだな~と思える可愛らしさもあった(わたしもそんなに変わらないんだけれど)。若くて、わたしたちと同じようにいろんなことがまだまだ手探り状態。だけど彼の「生きる態度」にはほんとうに見習うべきものがあるし、人としてすごく心惹かれる。「今度本を出すんだ!」とLIVE中に告知していたので、なんとかしてカナダにいながらゲットできないかと目論んでいる。

いやあ、ホント、わたしもこうしちゃいられない。がんばらなきゃなあ。

 

 

つい先日、義妹つながりで撮影の仕事をいただき大学生を撮ってきた。みんな集合時間に遅れて外での撮影を急きょ室内での撮影に変更したり(日が暮れた)、ヘッドショットのはずが1人の女の子のわがままにより途中で腰までのショットに変更したりと「カナダ・・・大学生・・・(苦笑)」となる場面もあったけれど、まあ無事終了。わたしもクライアントも気持ちよく仕事をするためには、お互いがお互いの主張を尊重しながら一緒にいい作品を作ろうと努力する必要があって、そのためには事前のコミュニケーションを充実させることが不可欠なんですね。今回はここの部分が足りてなかったな、と反省した。

①事前に「作りたい写真のイメージ」を明確にしてお互いがしっかり理解する。

(その時クライアントが想像しにくそうな場合はわたしが積極的に提案してあげる)

②わたしが主張べきことはきちんと相手に伝える。遠慮しない。

 

もちろん準備してもなお、撮影において予想外な事態というのは起こるんだけれど。それらに余裕を持って対応できる柔軟性を身に付けるにはまだまだ経験が必要。これから日々トライアンドエラーを繰り返しながら成長していければよいなと思う。

 

改めて思ったんだけれど、自分で仕事をして報酬をいただけるというのはほんとうに嬉しい。「それが仕事でしょ」と言わればそうなんだけど。フリーランスというのは自分で自分の仕事に値段をつけなければならず、つまり自分で自分を目に見える形で評価せねばならず、それもあってか報酬をいただいた時は「はぁぁああ、ありがとうございます(涙)」となる。間違っても「わたしの仕事よ。これくらい当然でしょ?」とはならない。お仕事をいただけるというのは本当にありがたい。自分の好きなことで人の役に立つ、しかもそれでお金をもらえるって最高だなあと思う。もっと人に与えられる自分になれるよう、努力を続ける所存。

 

 

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なんだか無性にホットチョコレートとシャンパンが飲みたくなるこの季節。

これからさらに寒くなるんだろうなあ。

最近口ずさんでいる曲。

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